愛を与えることで返ってくるもの


先日は、自我が不幸を引き寄せてしまい、それを解消するために、仏教的な思想を取り入れることをお話ししました



今回は、もう一つの方法として、その反対の愛の思いによって、自我を統御していく方法があることを述べてみたいと思います

自我は自己中心的で、一生懸命に自分の得になることを求め、人から奪うことを考えます

それは親の愛情を自分に向けようとしたり、異性の愛情をえようとしたり、人より多くお金などの取り分を求めたりです

そうした自我の発する我欲は、人から奪おうとするもので、人に何かを与えんとする愛の思想と対極にあります

仏教の説話にこんな話があります

餓鬼道という我欲の強い亡者が落ちるとされる世界があります

そこでは一メートルもあるような、長い箸が手渡され、餓えた亡者の前に、豪華な食事が置かれます

手渡された長い箸を使ってでしか、食事をすることは出来ないというルールがあります

お腹が空いてたまらない、餓鬼の亡者は、その長い箸で一生懸命に目の前の食事を食べようとするのですが、長い箸のため、自分の口元まで運ぶことができません

目の前には豪華な食事が並んでいるにもかかわらず、餓鬼道の亡者はそれが食べられないという苦痛が続くのです

ほんとうは、その長い箸を使って、周りの者たちの口元に食べ物を運び、食べさせてあげれば、お互いに食べることができて、餓鬼道から抜け出せるのです

我欲に凝り固まって、自分のことしか考えられない亡者には、他人にしてあげることに気づかず、自分が自分がと、思っているため、いつまでたっても苦しみから抜け出せないのです

この説話のとおりに、この世においても、自分の我欲によって苦しめられることがあって、それを救うには、他人へと愛情を向けることで抜け出すことができるようになります

苦しんでいる人の中には、何とか抜け出そうとして、人のことなど気にしておれないという心境になてしまうでしょうが、そこを何とかとどまって、ふと周りにいる同じく苦しんでいる人たちに目を向けることで、変化の兆しを得られるようになります

人に愛を与えることによって、あなた自身が与えられるようになり、豊かな者へと変わっていくでしょう

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