ILM、PIXARにおけるアニメーション関係とアニメーション12の法則
お久しぶりでございます。
今回はIndustrial Light & Magic(ILM)とPIXARのアニメーター間で過去に起こった摩擦と、「アニメーションにおける12の法則」の重要性についてです。
本当のところこのお題は非常にセンシティブなものなので、私自身としては足を踏み入れたくないのです。(ILMやPIXARの方々に怒られたくないので...。)
が、しかしこのお題から学び取れることを考えると、今の日本とアメリカのアニメーターにとって確実に必要なものなので勇気を振り絞ってお話したいと思います。
まず順を追ってご説明します。
PIXARはご存知の通りスティーブ・ジョブズ主軸として誕生し、ジョンラセターが監督したトイストーリーのヒットとともに世の中に名を知らしめたアニメーション会社です。そのジョンラセターは元ディズニー出身でまだ2D主体のアニメーション業界の中で3Dアニメーションの可能性に他のアーティストよりも早い段階で目を光らせていたアーティストの一人です。
彼自身ががディズニーで作画をしていたこともありディズニーでは歴史的に受け継がれてきている
12 basic principles of animation(アニメーションにおける12の法則)について熟知していました。
このアニメーションにおける12の法則はご存知の方も多いかと思いますが1981年 Ollie Johnston と Frank Thomas というディズニーのアニメーターにより考案されThe Illusion of Lifeという本に載せられたものです。
ディズニーアニメーターが考案した法則ということもあり「ディズニーっぽいアニメーションをつくるための法則」というイメージがつきやすいのですが...
実はこれ、アニメーションでリアルな動きや動作を表現するために作られたものなのです。(それだけ、ということではありませんが...)
つまりミッキーやその他ディズニーキャラクターのような動き、つまりカートゥーニーな動きを作るための知識というわけではなく、ジェネラルに見ていて実際にそのキャラクターがスクリーンの中で生きていると信じられる映像の作り方を思考されたものなんですね。
さてここでジョンラセターに戻りますが、この12の法則がなんと2Dだけではなく3Dアニメーションでも多大な効果を発揮することになります。その効果と初3D長編映画トイストーリーをヒットさせたことでPIXARは3Dアニメーション業界のパイオニア的存在となります。
ではここでIndustrial Light & Magic(ILM)の紹介です。
ILMと言えばジョージルーカスのスターウォーズ、ジュラシックパークなどの製作を始めとするVFX界の大御所的存在です。どこよりも先をゆく映像技術を駆使しハリウッド映画にとってはかかせないスタジオです。
実はPIXARも、PIXARと名の着く前まではILMの3Dグラフィックス関連の一部所でした。そこをスティーブジョブズにまるっと買い取られ独立したのがPIXARなんですね。
ここで本題に入りますが、PIXARは自他共に認める3Dアニメーションのパイオニアとなったことで少し調子に乗り始め、ILMが3Dコンピューターグラフィックスを使った映画を作り始めてからこんな噂がアニメーター間で広がり始めます...。
「PIXARのアニメーターはILMの3Dアニメーションをアニメーションだと思っていない。」
これは嘘かまことか分かりませんが私個人の予想としてはPIXARアニメーター達が当時(当時ですよ!今、じゃないですよ!?)自分達のアニメーションのできの良さに慢心しILMがILMなりにリアルを突き詰め製作した3Dアニメーションに対し、小ばかにしたようなことを口走ってしまったがためにおきたことだと思います。
というか実際にILMの知り合いからPIXARのアニメーターについて良いイメージをもっていないという話も聞いたことがあります。
なので少なくともILM側でPIXARアニメーターの態度にムカッとした方がけっこういたことは間違いないでしょう。
そしてPIXARサイドのアニメーターの言い分は、12の法則に乗っ取っていないというものだとILM側には判断されています。
いったい当時PIXARのアニメーター達がどの映画を見てILMのアニメーションを批評したのかは知りませんが、この噂話により12の法則はPIXARと共にILMから突き放されてしまったような気がします。
現にその後PIXARのスタイルはプッシュし過ぎでリアルなスタイルではない、という話もちょくちょく実写系VFXスタジオの人のコメントで見たこともあります。
この互い違いになってしまった2サイドのアニメーション関係はどちらの責任とも私は思いませんが、12の法則がPIXARやディズニーだけのものとされてしまうことに私はどうも納得がいかないわけです。
私はアカデミーの大学でPIXARクラスを受講し、12の法則を叩き込まれその後VFXありきのスタジオでリアリスティック系のアニメーションをメインに仕事をしています。
その両側を経験している自分の意見としては「この12の法則は3Dアニメーションにおいて絶対的効果がある!」なのです。
もちろんこれが全てではなくそれ以外の知識も無限に世の中にはあるわけなのですが、それを踏まえた上でもこの12の法則はアニメーターである以上学び、身に着けておく価値のあるものだと思っています。
私が最近懸念していることは、このILMとPIXARの間で起きた摩擦と同じことが、日本アニメーターとアメリカアニメーター間でおきてしまうことにあります。
これが一度おきてしまうと交換し合える知識が滞り、互いの成長のスピードを鈍らせてしまう結果に陥ります。
近年日本のアニメーションでも2Dメインの作品で3Dを使い、パッと見では3Dアニメーションが映っていることに気が付かないレベルのものもよく目にするようになりました。
それは3Dで日本の2Dアニメ独自のスタイルをうまく移行できていることに他なりません。
こういったスタイルのアニメーションはアメリカ作品には存在しないのです。
アニメオタクな私ですが、もちろんPIXARやDisney、Dream Worksのスタイルも私の学んだ経路であり尊敬しています。
この2サイドがこれからどんな関係性を築いていけるのか私には予想できませんが、それがILMとPIXARのようにはならず、お互いに促進し合えていけるようなものになることを祈っています。
*ここに書かれている情報は独自に収集したものからインターネット経由で得たものまでさまざまです。もし事実関係と食違う点等ございましたら詳細についてanitoonjapan@gmail.comまでご連絡ください。
今回はIndustrial Light & Magic(ILM)とPIXARのアニメーター間で過去に起こった摩擦と、「アニメーションにおける12の法則」の重要性についてです。
本当のところこのお題は非常にセンシティブなものなので、私自身としては足を踏み入れたくないのです。(ILMやPIXARの方々に怒られたくないので...。)
が、しかしこのお題から学び取れることを考えると、今の日本とアメリカのアニメーターにとって確実に必要なものなので勇気を振り絞ってお話したいと思います。
まず順を追ってご説明します。
PIXARはご存知の通りスティーブ・ジョブズ主軸として誕生し、ジョンラセターが監督したトイストーリーのヒットとともに世の中に名を知らしめたアニメーション会社です。そのジョンラセターは元ディズニー出身でまだ2D主体のアニメーション業界の中で3Dアニメーションの可能性に他のアーティストよりも早い段階で目を光らせていたアーティストの一人です。
彼自身ががディズニーで作画をしていたこともありディズニーでは歴史的に受け継がれてきている
12 basic principles of animation(アニメーションにおける12の法則)について熟知していました。
このアニメーションにおける12の法則はご存知の方も多いかと思いますが1981年 Ollie Johnston と Frank Thomas というディズニーのアニメーターにより考案されThe Illusion of Lifeという本に載せられたものです。
ディズニーアニメーターが考案した法則ということもあり「ディズニーっぽいアニメーションをつくるための法則」というイメージがつきやすいのですが...
実はこれ、アニメーションでリアルな動きや動作を表現するために作られたものなのです。(それだけ、ということではありませんが...)
つまりミッキーやその他ディズニーキャラクターのような動き、つまりカートゥーニーな動きを作るための知識というわけではなく、ジェネラルに見ていて実際にそのキャラクターがスクリーンの中で生きていると信じられる映像の作り方を思考されたものなんですね。
さてここでジョンラセターに戻りますが、この12の法則がなんと2Dだけではなく3Dアニメーションでも多大な効果を発揮することになります。その効果と初3D長編映画トイストーリーをヒットさせたことでPIXARは3Dアニメーション業界のパイオニア的存在となります。
ではここでIndustrial Light & Magic(ILM)の紹介です。
ILMと言えばジョージルーカスのスターウォーズ、ジュラシックパークなどの製作を始めとするVFX界の大御所的存在です。どこよりも先をゆく映像技術を駆使しハリウッド映画にとってはかかせないスタジオです。
実はPIXARも、PIXARと名の着く前まではILMの3Dグラフィックス関連の一部所でした。そこをスティーブジョブズにまるっと買い取られ独立したのがPIXARなんですね。
ここで本題に入りますが、PIXARは自他共に認める3Dアニメーションのパイオニアとなったことで少し調子に乗り始め、ILMが3Dコンピューターグラフィックスを使った映画を作り始めてからこんな噂がアニメーター間で広がり始めます...。
「PIXARのアニメーターはILMの3Dアニメーションをアニメーションだと思っていない。」
これは嘘かまことか分かりませんが私個人の予想としてはPIXARアニメーター達が当時(当時ですよ!今、じゃないですよ!?)自分達のアニメーションのできの良さに慢心しILMがILMなりにリアルを突き詰め製作した3Dアニメーションに対し、小ばかにしたようなことを口走ってしまったがためにおきたことだと思います。
というか実際にILMの知り合いからPIXARのアニメーターについて良いイメージをもっていないという話も聞いたことがあります。
なので少なくともILM側でPIXARアニメーターの態度にムカッとした方がけっこういたことは間違いないでしょう。
そしてPIXARサイドのアニメーターの言い分は、12の法則に乗っ取っていないというものだとILM側には判断されています。
いったい当時PIXARのアニメーター達がどの映画を見てILMのアニメーションを批評したのかは知りませんが、この噂話により12の法則はPIXARと共にILMから突き放されてしまったような気がします。
現にその後PIXARのスタイルはプッシュし過ぎでリアルなスタイルではない、という話もちょくちょく実写系VFXスタジオの人のコメントで見たこともあります。
この互い違いになってしまった2サイドのアニメーション関係はどちらの責任とも私は思いませんが、12の法則がPIXARやディズニーだけのものとされてしまうことに私はどうも納得がいかないわけです。
私はアカデミーの大学でPIXARクラスを受講し、12の法則を叩き込まれその後VFXありきのスタジオでリアリスティック系のアニメーションをメインに仕事をしています。
その両側を経験している自分の意見としては「この12の法則は3Dアニメーションにおいて絶対的効果がある!」なのです。
もちろんこれが全てではなくそれ以外の知識も無限に世の中にはあるわけなのですが、それを踏まえた上でもこの12の法則はアニメーターである以上学び、身に着けておく価値のあるものだと思っています。
私が最近懸念していることは、このILMとPIXARの間で起きた摩擦と同じことが、日本アニメーターとアメリカアニメーター間でおきてしまうことにあります。
これが一度おきてしまうと交換し合える知識が滞り、互いの成長のスピードを鈍らせてしまう結果に陥ります。
近年日本のアニメーションでも2Dメインの作品で3Dを使い、パッと見では3Dアニメーションが映っていることに気が付かないレベルのものもよく目にするようになりました。
それは3Dで日本の2Dアニメ独自のスタイルをうまく移行できていることに他なりません。
こういったスタイルのアニメーションはアメリカ作品には存在しないのです。
アニメオタクな私ですが、もちろんPIXARやDisney、Dream Worksのスタイルも私の学んだ経路であり尊敬しています。
この2サイドがこれからどんな関係性を築いていけるのか私には予想できませんが、それがILMとPIXARのようにはならず、お互いに促進し合えていけるようなものになることを祈っています。
*ここに書かれている情報は独自に収集したものからインターネット経由で得たものまでさまざまです。もし事実関係と食違う点等ございましたら詳細についてanitoonjapan@gmail.comまでご連絡ください。
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